2023/11/05
KiCADでspiceモデルを使用して回路シミュレーションする
KiCADは、回路設計、回路シミュレーション、プリント基板設計ができるフリーの回路CADです。
フリーながら様々な機能が使用できるので、ホビー用途だけでなく中小企業などでも使用されているようです。
本記事では、kiCADで回路シミュレーションを行う方法をまとめています。
以下の手順でまとめています。
- 回路を書く
- Spiceモデルをダウンロード
- 回路シンボルにSpiceモデルを登録
- 入力信号の設定
- シミュレーションの実行
※KiCAD 7.0を使用しています。
回路を書く
本ページでは例として、TI社のコンパレータIC「LM339B」を使用した回路を使います。
こんな感じで回路を作成しました。

Spiceモデルをダウンロード
ICメーカーのページを確認し、Spiceモデルをダウンロードします。
例えば今回使用したコンパレータICは以下です。
LM339B 36V、-40℃ ~ 85℃、クワッド、標準コンパレータ

回路シンボルにSpiceモデルを登録
まず、先ほどダウンロードしたモデルを、プロジェクトのフォルダにコピーします。

回路図上でICのシンボルのプロパティを開き、「シミュレーションモデル」をクリックします。


「ファイルからSPICEモデルを読み込む」をチェックし、Spiceモデルのフォルダの中にある「.lib」ファイルを選択します。
その後、使用するモデルを選択します。

同じウィンドウで、「ピンの割り当て」タブを選択して、モデルのピンを設定します。

これで、シンボルとSpiceモデルの紐づけが完了です。
入力信号の設定
回路図上で、VPULSEのプロパティを開き、「シミュレーションモデル」をクリックします。
(VPULSEは出力電圧を経過時間によって変化させられる、シミュレーション用の電圧ソースです。)


VPULSEの設定をします。
ここでは、400us周期、立上がりと立下りが100us、0-20Vの矩形波としています。
シミュレーションの実行
回路図で上のタブの「検査」→「シミュレータ」をクリックします。

「コマンド」をクリックして、シミュレーションコマンドを設定します。
ここでは、過渡応答(時間経過による変化)のシミュレーションを実施します。
時間ステップは、シミュレーション時間全体に対して細かすぎると実行に時間がかかるので、注意が必要です。
互換モードは「PSpiceとLTSpice」を設定しておけば、大抵のケースに対応可能です。

「実行/停止」をクリックします。

シミュレーションの実行が終わったら、「プローブ」をクリックし、電圧波形が見たいラインをクリックします。
今回は、コンパレータICの入力、出力、基準電圧を見ています。


そうすると、各ラインのシミュレーション結果をみることができます。
コンパレータICが正常に動作していることが確認できました。

以上です。
関連リンク
KiCADで回路設計のシンボルを追加をする - yokuaru Tech notes
KiCADで、使用するICのシンボルを登録する方法です。